※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。18歳未満の方は読めません。
「ずっと……触ってみたかったんです。ひなちゃんの、お父さん」。耳元で落とされた甘い囁きと同時に、手のひら越しに、ぐっと強い力がこもった。ハーフパンツの上からでもはっきりと分かるほど張りつめた悠(ゆう)のそれを、莉乃(りの)は満足そうに、何度も撫であげる。その手つきは、さっきまでの「指導」のものとは、まるで違っていた。一人の「男」を欲しがる、女の手だった。
指導の手つきが、変わった昼下がり
「……佐々木、さん」。悠が絞り出した声は、それ以上、言葉にならなかった。だめだ、こんなの、と思う。けれど、その思いは、口の中で溶けて消えた。
「だめじゃないですよ」。莉乃は、くすっと笑った。「ここにいるのは、わたしと、藤宮さんだけ」。彼女は、すばやい手つきで、悠のハーフパンツのウエストに指をかけ、一気に引き下ろした。跳ねるように現れたものを見て、莉乃は、うっとりと目を細める。逃げようとする悠の太ももを、引き締まった自分の脚で挟み込み、完全にロックした。
「すごい……こんなに硬くして。……嘘ついたの、まだ怒ってます?」
「……怒っては、いないです。でも、僕には、妻が……」
「奥さんの話は、いまはナシ。ね?」
玲子、という名前が、頭の隅をよぎった。けれど、それを追いかける前に、莉乃はブラトップの裾を掴み、頭から一気に脱ぎ捨てた。弾むように現れたのは、水泳で鍛え上げられた、張りのある豊かな胸だった。運動の熱を残した肌。上を向いた頂きが、昼の光の中で、悠の目の前に晒される。悠は、息を呑んだまま、身動きが取れなかった。
声を殺したぶん、身体が跳ねた
莉乃は、悠の太ももの間に膝立ちになると、自分の豊かな胸を寄せ、硬く反り立った悠のそれを、両側からぎゅっと挟み込んだ。汗ばんだ谷間の、柔らかい感触。水泳とピラティスで鍛えた柔軟な体幹を生かし、彼女は上半身を前後に滑らせて、胸の肉で、ゆっくりとしごき始めた。
快感が、背骨を這い上がってくる。それでも悠は、必死で声を押し殺した。こんな昼間の部屋で、みっともない声をあげるわけにはいかない。ただ、奥歯を強く噛みしめ、喉の奥で殺した息だけが、細く漏れる。声を殺したぶん、腰だけが、正直に、小さく揺れた。
莉乃は、その反応を見逃さなかった。「ん……ふふ。声、我慢してるでしょ」。彼女は、胸の谷間にそれを挟んだまま、上から顔を近づけ、溢れ出た先端を、ぺろりと舌先で舐め上げた。
胸の圧迫と、先端をねっとりと舐めとられる感触。二つの刺激が重なった瞬間、悠の全身が、びくりと大きく強張った。それでも、声だけは噛み殺した。開きかけた唇からは、掠れた吐息が漏れるだけだった。莉乃は、濡れた唇でいたずらっぽく笑い、寸前で口を離す。「……だめ。まだ、もったいないでしょ」。焦らすように、また舌を這わせ、また離す。悠は、天井を見上げたまま、こみ上げる衝動を、必死で押し戻し続けた。
「先生」ではなく、名前で呼んで
「……ねえ」。莉乃が、濡れた唇を離して囁いた。「『佐々木さん』じゃなくて、莉乃って呼んでください。ここでは『先生』じゃなくて、莉乃、です」。
「……莉乃、さん」。「さん」を、消しきれなかった。それでも莉乃は、満足そうに目を細めると、悠の上から身を起こし、黒のレギンスと下着を、まとめて脱ぎ捨てた。そして、マットの上で悠に背を向け、ゆっくりと四つん這いになった。
引き締まった腰から、キュッと持ち上がった、豊かな尻。その向こう――壁一面に設えられた、大きな姿見が、目に入った。ピラティスのフォームを確認するための鏡なのだろう。そこに、下半身をあらわにした自分と、尻を突き出した莉乃の姿が、はっきりと映り込んでいる。
「……後ろから、来てください。悠さん」。鏡越しに目が合った莉乃が、濡れた瞳で、くすりと笑った。自ら尻を突き出し、誘うように、小さく揺らす。「はやく……焦らさないで。わたしのこと、鏡で見ながら、してください」。
鏡の中に、消えていった日常
普段は真面目に主夫をして、書けない小説と向き合っている自分が、今、娘のスイミングの先生を、後ろから抱こうとしている。鏡に映るその光景の、圧倒的な背徳感に、悠の理性の糸が、ぶつりと切れた。彼女の細い腰を後ろから掴み、一気に、最奥まで沈める。
「あぁっ……! すごい……奥まで、来てる……っ!」。莉乃が、背をのけぞらせて、甲高い声をあげた。悠は、声のかわりに、詰めていた息を、強く吐いた。
最初はためらいがちだった動きが、莉乃の「もっと」という声に煽られて、次第に激しくなっていく。肌と肌のぶつかる音と、彼女の嬌声が、清潔なサロンに響いた。喘ぐのは、いつも莉乃のほうだった。悠は、奥歯を噛み、押し殺した呼吸で、ただ腰を打ちつける。鏡の中で、莉乃の豊かな胸が揺れ、彼女が快感に顔を歪めていく。妻の顔も、ひなの顔も、日常のすべてが、鏡の向こう側の世界へと、遠のいていった。
限界は、すぐに近づいた。中に、という警告が、頭の隅で一瞬だけ光る。けれど、莉乃はそれを許さなかった。「い、く……悠さん、そのまま……中に、出して……っ!」。彼女は、後ろ手に悠の腰を掴み、逃がすまいと、ぐっと自分のほうへ引き寄せる。
逃げ場を失った悠は、押し殺した低い呻きとともに、彼女のいちばん奥深くで、長く、深く、果てた。莉乃もまた、鏡の中の自分と悠を見つめながら、「あぁぁっ……!」と背中を反らせ、全身を震わせて達していた。
静まり返ったサロンに、二人の荒い息だけが残る。果てた悠は、全身の力が抜け、マットの上に沈み込んだ。一度出し切ったことで、猛烈な罪悪感と、冷えていく頭が、押し寄せてくる。……またやってしまった。麻衣のときと、同じだ。いや、あのときより、もっと――。
目を閉じかけた悠の上に、ふいに、まだ熱の引かない莉乃の身体が、ゆっくりと跨り直してくる気配があった。「……ふふ。まだ、帰しませんよ?」。
(第8話へ続く)
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