同人誌の値段の相場を新作1,000本で測った|定価の中央値770円、漫画は1ページ13.3円、77%が値引き中

本の厚みを指で測っている手元。値札は伏せられている

同人作品の値段は、作品ごとにばらばらに見えます。330円のものがあれば、2,000円を超えるものもある。しかも多くが割引中で、表示されている金額が何を意味しているのかも分かりにくい。そこで、FANZA同人の新着1,000本を機械的に取得して、定価・ページ数・割引率を全部数えました。以下の数字はすべて2026年9月20日時点の実測値です。(本ページはアフィリエイトリンクを含みます)

まず、同人として売られているものの中身

相場の話をする前に、「何が売られているか」を確認しておきます。新着1,000本を媒体別に分けると、次のようになりました。

MARKET DATA

新着1,000本の内訳と定価

CG集 425本43% 定価の中央値 0円
漫画 321本32% 定価の中央値 0円
動画・音声 204本20% 定価の中央値 0円
ゲーム 27本3% 定価の中央値 0円
その他 23本2% 定価の中央値 0円

集計対象:FANZA同人フロアの新着1,000本/出所:FANZA(DMM Webサービス)・2026-10-22時点/価格は定価(セール前の値)

■ 新作の4割はCG集で、漫画は3割台

漫画は365本。いちばん多いのはCG集の440本です。「同人誌」という言葉で想像するページをめくる漫画は、新作の中では3本に1本という比率になります。残りは動画・音声が141本、ゲームが33本。

この構成は、相場を1つの数字で語れない理由でもあります。ページ数のある漫画と、画像枚数で示されるCG集と、分数で示される音声作品を、同じ土俵で比べることができないからです。

■ 媒体ごとに価格が階段になっている

定価の中央値を媒体別に見ると、CG集660円、漫画770円、動画・音声990円、ゲーム1,430円。制作にかかる手間の順にきれいに並んでいます。1,000本全体では中央値770円、上下の四分位は440円と990円でした。つまり半分の作品が440円から990円の間に入ります。

最安は110円、最高は11,000円。100倍の開きがありますが、これは総集編や大容量のセット商品が上側を伸ばしているためで、単品の新作という意味では440〜990円の帯が実態に近いと考えられます。

漫画の相場は「1ページいくら」で見る

漫画に限れば、ページ数という共通の物差しがあります。365本の内訳はこうなりました。

項目 実測値
ページ数の中央値 54ページ
ページ数の四分位 32ページ〜132ページ
定価の中央値 770円
1ページあたりの中央値 13.3円
1ページあたりの四分位 5.7円〜20.0円

■ 中央値は1ページ13.3円

770円を54ページで割ると約14円。実測の中央値13.3円とほぼ一致します。デジタル同人の漫画は、1ページ13円前後で値付けされているというのが、いまの相場です。

比較のために、同じFANZAの商業コミック(FANZAブックス)の新着100本も同じ方法で数えました。ページ数が取れた60本の中央値は39.5ページ・440円・1ページあたり8.8円(表示価格ベース・2026年9月20日時点)。

つまり同人の13.3円は、商業の8.8円のおよそ1.5倍です。同人のほうが1ページあたりでは高い。ただし同人の13.3円は値引き前の定価で、商業側は表示価格です。後で見るとおり同人は77%が値引き中なので、実際に払う額では逆転している場面のほうが多いことになります。

ページ数のほうも見ておくと、商業の新着は39.5ページ、同人は54ページ。単話ずつ配信される商業に対して、同人は1本で完結させるぶん厚くなる、という差が出ています。

■ 4本に1本は5.7円以下、4本に1本は20円以上

ばらつきも大きく出ました。安いほうの四分の一は1ページ5.7円以下。これはページ数の多い総集編が押し下げています(ページ数の第3四分位が132ページ、最大は3,942ページ)。逆に高いほうの四分の一は20円以上で、30ページ前後の短編に600円台が付いているケースがここに入ります。

「安い=お得」が成立しにくいのは、この幅のためです。1ページ5円の総集編は、読みたい1本のために読まない9本を抱き合わせで買っている状態でもあります。

■ 人気のある作品ほど、1ページあたりは高い

別に集計した人気上位のサークル22組・1,050本では、1ページあたりの中央値が16.6円でした。新着全体の13.3円より高い。読まれている作品のほうが単価が高いという関係が出ています。値段を下げることが読まれる条件にはなっていない、と読むことができます。

定価は、ほとんどの人が払う額ではない

ここまで定価で話してきたのには理由があります。表示価格は、多くの作品で定価ではないからです。

SALE DATA

いま何%引きで売られているか

新着1,000本のうち 762本(76%) が値引き中。割引率の中央値は50%。 下のグラフは20本以上ある刻みだけを並べたもの(654本ぶん)。

10%引き 47本
20%引き 48本
30%引き 105本
50%引き 222本
70%引き 24本
80%引き 75本
90%引き 81本
95%引き 52本

集計対象:FANZA同人フロアの新着1,000本/出所:FANZA(DMM Webサービス)・2026-10-22時点/価格は定価(セール前の値)

■ 新着1,000本のうち772本が値引き中

77%。4本に3本以上が、いま値引きされた価格で並んでいます。割引率の中央値は50%。定価は「一度も適用されない値段」になりかけていると言っていい比率です。

■ 半額が最頻。しかし80%引き以上が231本ある

分布を見ると50%引きが192本で最多。次いで30%引きが102本、そして80%引きが95本、90%引きが71本、95%引きが41本と続きます。8割引き以上だけで231本。

この231本を取り出して調べると、定価の中央値は880円で、実売の中央値は99円でした。そして231本すべてが今月発売の新作です。過去の在庫が投げ売られているのではなく、新作が最初から100円前後で出ているという状態になります。媒体の内訳はCG集149本・漫画55本で、CG集が3分の2を占めました。

■ 値引きされない作品は、漫画に偏る

逆に、定価のまま売られている228本を見ると、内訳は漫画115本・CG集80本。漫画365本のうち値引きなしは31%、CG集440本では18%です。漫画のほうが値引きに参加していないという差が出ました。

ページ数という分かりやすい量を持っている漫画は値段を説明しやすく、枚数で示されるCG集は価格の根拠を示しにくい——その差が、値引きの深さに出ている可能性があります。値付けが何に縛られているのかは原価ゼロのデジタル同人で、価格は何が決めているのかで、セールが読者と作り手に何をしたのかはセール文化が同人にもたらしたもので扱っています。

この数字を、買うときにどう使うか

■ 表示価格ではなく、定価とページ数を見る

77%が値引き中という状況では、表示価格を作品同士の比較に使えません。同じ660円でも、定価660円の作品と、定価3,300円が80%引きになった作品では意味が違います。比べるなら定価と、その作品のページ数(またはCG集なら枚数)です。

■ 1ページ13円を基準線にする

漫画なら、定価をページ数で割って13円前後かどうか。20円を超えていれば相場より高く、6円を割っていれば総集編である可能性が高い。高い安いを決めるのは総額ではなく、この1ページあたりの値です。

■ 価格差で選べないなら、作り手で選ぶ

ここまでの数字が示しているのは、価格はほとんど選ぶ材料にならないということです。半分の作品が440〜990円の帯に収まり、しかもその大半が値引きされている。数百円の差で悩む意味は薄い。

そうなると、残る基準は「誰が描いたか」になります。作品数・レビュー総数・平均評価・得意なタグをサークル単位で並べたFANZA同人のおすすめサークル22選が、その入口として使えます。1ページあたりの単価も、サークルごとのデータカードに出しています。

まとめ

2026年9月20日時点、FANZA同人の新着1,000本を数えた結果です。

  • 新作の内訳はCG集440本・漫画365本・動画/音声141本・ゲーム33本
  • 定価の中央値は770円。半分の作品が440〜990円に収まる
  • 漫画のページ数の中央値は54ページ、1ページあたり13.3円
  • 77%(772本)が値引き中。割引率の中央値は50%
  • 8割引き以上が231本あり、その実売中央値は99円。すべて今月の新作

値段は、いまの同人ではほとんど情報を持っていません。定価をページ数で割った数字と、誰が描いたか——判断に使えるのはこの2つです。